治療と仕事の両立支援
病気を抱えながらも、働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、 また、治療の必要性を理由として仕事の継続を妨げられることなく、適切な治療を受けながら 生き生きと働き続ける社会を目指す取組です。 労働者ががんなどの病気を理由として安易に退職を決めてしまわないように、事業者側にも、日頃 から病気に関する理解の促進、労働者との良好なコミュニケーションが求められています。
1.両立支援を必要とする労働者の背景
- 疾病を理由として1か月以上連続して休業している従業員がいる企業の割合は、メンタルヘルスが38%、がんが21%、脳血管疾患が12%となっています。
- 仕事を持ちながら、がんで通院している者の数は、44.8 万人に上っています。
- 労働安全衛生法に基づく一般健康診断において、脳・心臓疾患につながるリスクのある血圧や血中脂質などにおける有所見率は、 令和2年は63.6%に上るなど、疾病のリスクを抱える労働者は増える傾向にあります。
- これらの疾病の有病率は年齢が上がるほど高くなり、労働力の高齢化が進む事業場において疾病を抱えた労働者の治療と仕事の両立への対応が必要となることが予想されます。
2.両立支援の意義
- 労働者の健康確保:労働者が業務によって疾病を増悪させることなく治療と仕事の両立を図るための事業者による取組
- 継続的な人材の確保:労働者の安心感やモチベーションの向上による人材の定着・生産性の向上
- 健康経営の実現、多様な人材の活用による組織や事業の活性化
- 組織としての社会的責任の実現
- 労働者のワーク・ライフ・ バランスの実現
3.福岡産業保健総合支援センターの役割
病気を抱える労働者が就労を継続するために、事業場に対する支援を行います。両立支援対策に詳しい産業医や保健師、社会保険労務士などの産業保健相談員やメンタルヘルス対策・両立支援促進員(以下専門スタッフ)が事業場からの相談に応じて対応します。治療と仕事の両立支援にて提供するサービスは、すべて無料です。
福岡産業保健総合支援センター 両立支援体制図・両立支援相談窓口の体制《PDF》
■ 支援内容
患者(労働者) 、事業者、人事労務担当者、産業保健スタッフ等を対象に以下のような支援を行っています。
1.啓発セミナー
ガイドラインの等の普及・啓発を目的とした事業者に対するセミナーです。
2.相談対応
患者(労働者) に係る健康管理、就業上の配慮事項、両立支援を行うための職場の環境整備 (事業場の体制づくり、規程・制度の整備) への配慮等の両立支援に関する全般的な相談に対応します。
3.個別訪問支援
専門スタッフが事業場を訪問し、両立支援に関する制度の導入についてアドバイスします。
① 管理監督者向け両立支援教育
② 事業場内体制整備
③ 事業場の勤務や休暇制度の整備
④ 両立支援に係る情報提供等
4.患者(労働者) と事業場との個別調整支援
患者(労働者) と事業場間の仕事と治療の両立についてアドバイスします。
① 患者(労働者) の治療に対する配慮の検討
② 両立支援の進め方
③ 両立支援プランの作成
④ 職場復帰支援プランの作成
⑤ 主治医などへの相談
⑥ 就業上の措置についての検討等
※ ご利用の際は、事前申し込みが必要です。
※ 患者(労働者) と事業場との個別調整支援では、患者(労働者)、及び事業場双方、ご本人の同意が必要です。
4.両立支援窓口
労災病院の治療就労両立支援センターや治療就労両立支援部においては、研究によって得られた知見・その他研究成果等を踏まえ、患者の医療情報や職業情報等の収集・整理を行う「両立支援コーディネーター」を中心として、医師や看護師等の医療スタッフで構成されたチームによる支援を行っています。
■ 九州労災病院
北九州市小倉南区曽根北町1-1
093-471-1121(代表)
■ 九州労災病院 門司メディカルセンター
北九州市門司区東港町3-1
093-331-3461(代表)
5.両立支援(出張)窓口
専門スタッフが当センターと契約している病院で、病院スタッフと連携して出張相談をしています。相談は事前予約制です。
■ 福岡大学病院
福岡市城南区七隈7-45-1
日時 | 第2・第4金曜日 13:00~16:00 (45分/人) |
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相談窓口 | 新館1階 地域医療連携センター 医療相談窓口 |
対象者 | 福岡大学病院に入院・通院するがん等の患者(労働者) |
■ 久留米大学病院
久留米市旭町67番地
日時 | 第2・第4水曜日 09:00~12:00 |
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相談窓口 | 総合診療棟1階 医療相談室(がん相談支援センター) |
対象者 | 久留米大学病院に入院・通院するがん等の患者(労働者) |
■ 九州大学病院
福岡市東区馬出3-1-1
日時 | 第1水曜日 13:00~16:00 第3金曜日 13:00~16:00 第4火曜日 09:00~12:00 |
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相談窓口 | 医療連携センター |
対象者 | 九州大学病院に入院・通院するがん等の患者(労働者) |
■ 飯塚病院
飯塚市芳雄町3-83
日時 | 第2金曜日 13:30~16:30 |
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相談窓口 | トリアージセンター入院手続き室5 |
対象者 | 飯塚病院に入院・通院するがん等の患者(労働者) |
■ 産業医科大学病院
北九州市八幡西区医生ケ丘1-1
日時 | 第2・第4木曜日 13:00~16:00 |
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相談窓口 | 病院1階ロビー |
対象者 | 産業医科大学病院に入院・通院するがん等の患者(労働者) |
■ 聖マリアヘルスケアセンター
久留米市津福本町448-5
日時 | 第2・第4土曜日 9:00~12:00 |
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相談窓口 | 病院1階相談室2 |
対象者 | がん等の患者(労働者) |
※ 相談に関する問い合わせは、福岡産業保健総合支援センター(TEL:092-414-5264)にご連絡ください。
6.外部連携機関
当センターは、主に事業主や労働者の方々への働き続けるための支援をしています。現在は働いておらず、療養生活のことや経済的なこと、就職や転職についてのご相談は、以下の機関で相談することができ、当センターとも連携しています。
患者及びその家族の方に対する治療や生活上の悩み全般の支援
■ がん相談支援センター
がん診療連携拠点病院に設置されている「がん相談窓口」のことで、がん専門相談員(看護師、医療ソーシャルワーカーなど)が対応します。福岡県には24か所あり、その病院に 受診していなくても、誰でも利用でき、匿名で相談することもできます。
■ がん就労相談 (福岡県がん就労相談支援事業)
九州がんセンター内がん相談支援センターでは、社会保険労務士による就労相談を行っています。県内のがん相談支援センターでの出張相談や、事業所に対して治療と仕事の両立支援のための出前講座もしています。
■ ハローワーク(公共職業安定所)
福岡県の一部を除くハローワークでは、長期療養就職支援担当者が一般の職業相談窓口で就職(転職)についての相談を受け、適性や希望にあった職場への職業紹介を行っています。
■ 専門スタッフよる就職支援相談
ハローワーク福岡中央、ハローワーク八幡(黒崎駅前庁舎)には、専門の就職支援担当者(就職支援ナビゲーター)が配置されており、予約制で就業相談を行っているほか、がん診療連携拠点病院等において出張相談を行っています。また、ハローワーク福岡東には、難病患者就職サポーターが配置され、難病相談支援センターと連携して就労支援を行っています。
7.福岡県地域両立支援推進チームの紹介
福岡労働局労働基準部健康課を事務局として、地域の実情に応じた治療と仕事の両立支援を効果的に進めるため、福岡県における関係者のネットワークを構築し、両立支援の取組の連携を図ることを目的とする「福岡県地域両立支援推進チーム」を設置し、取組みを始めています。
■ 福岡労働局
8.治療と仕事の両立支援ポータルサイト
労働者ご本人及びそのご家族や、事業者、医療従事者、産業医スタッフ、両立支援コーディネーターの方等、それぞれの立場で知りたい情報がわかりやすく検索できます。

・両立支援啓発動画 >>
・治療と仕事の両立支援取組事例集 >>
・治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル >>
・両立支援コーディネーターの養成 >>
9.関連リンク

・両立支援の進め方
・両立支援の取組み事例
・両立支援シンポジウム/セミナー 等

・それぞれのがんの解説
・資料室
・がん登録・統計 等
・がん患者の就労継続及び職場復帰に資する研究 >>・各種支援ツール
・患者さんのための がん治療による症状で困ったときの職場での対応ヒント集《PDF》 >>・産業看護職向けガイドブック第2版《PDF》 >>
・企業のための<がん就労者>支援マニュアル《PDF》 >>
・嘱託産業医向けガイドブック《PDF》 >>