治療と就業生活の両立支援

1.両立支援を必要とする労働者の背景

  1. 疾病を理由として1か月以上連続して休業している従業員がいる企業の割合は、メンタルヘルスが38%、がんが 21%、脳血管疾患が 12%となっています。
  2. 仕事を持ちながら、がんで通院している者の数は、32.5 万人に上っています。
  3. 労働安全衛生法に基づく一般健康診断において、脳・心臓疾患につながるリスクのある血圧や血中脂質などにおける有所見率は、平成 26 年は 53%に上るなど、疾病のリスクを抱える労働者は増える傾向にあります。
  4. これらの疾病の有病率は年齢が上がるほど高くなり、労働力の高齢化が進む事業場において疾病を抱えた労働者の治療と職業生活の両立への対応が必要となることが予想されます。

2.両立支援の意義

  1. 労働者の健康確保:労働者が業務によって疾病を増悪させることなく治療と職業生活の両立を図るための事業者による取組
  2. 継続的な人材の確保:労働者の安心感やモチベーションの向上による人材の定着・生産性の向上
  3. 健康経営の実現、多様な人材の活用による組織や事業の活性化
  4. 組織としての社会的責任の実現
  5. 労働者のワーク・ライフ・ バランスの実現

3. 両立支援における支援センターの役割

(1)対応可能な相談対応

患者(労働者)に係わる健康管理、就業上の配慮事項、長時間労働者・高ストレス者の医師の面接指導、両立支援を行うための職場環境整備(事業場内の体制づくり、規程・制度の整備等)への配慮等の両立支援に関する相談に対応

(2)個別訪問支援

担当者が事業場を訪問し、両立支援等に関する制度の導入についてアドバイスする。

その他、1.管理監督者向け両立支援教育、2.事業場内体制整備、3.事業場の勤務や休暇制度の整備、4.両立支援の進め方、5・両立支援に係わる情報提供等

(3)患者(労働者)と事業場との個別調整支援

  1. 患者(労働者)の治療に対する配慮の検討
  2. 両立支援の進め方
  3. 両立支援プランの作成
  4. 職場復帰支援プランの作成
  5. 主治医などへの相談
  6. 就業上の措置についての検討等

4. 両立支援を行うための留意事項

  1. 安全と健康の確保:就労によって、疾病の増悪、再発や労働災害が生じ ないよう、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の適切な就 業上の措置や治療に対する配慮を行うことが就業の前提となる。
  2. 労働者本人による取組:疾病を抱える労働者本人が、主治医の指示等に基づき、 治療を受けること、服薬すること、適切な生活習慣を守ること等、治療や疾病の増悪防止について適切に取り組むことが重要であること。
  3. 労働者本人の申出:治療と職業生活の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、 労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となること。なお、 本人からの申出が 円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や 情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要であること。
  4. 治療と就業生活の両立支援の特徴を踏まえた対応:治療と職業生活の両立支援の対象者は、入院や通院、療養のための時間の確保等が 必要になるだけでなく、疾病の症状や治療の副作用、障害等によって、労働者自身の業務遂行能力が一時的に低下する場合などがある。このため、 育児や介護と仕事の両立支援と異なり、時間的制約に対する配慮だけでなく、労働者本人の健康状態や業務遂行能力も踏まえた就業上の措置等が必要となること。
  5. 個別事例の特性に応じた配慮:症状や治療方法などは個人ごとに大きく異なるため、個人ごとに取るべき対応やその時期等 は異なるものであり、個別事例の特性に応じた配慮が必要であること。
  6. 対象者、対応方法の明確化:事業場の状況に応じて、事業場内ルールを労使の理解を得て制定するなど、治療と職業生活 の両立支援の対象者、対応方法等を明確にしておくことが必要であること。
  7. 個人情報の保護:治療と職業生活の両立支援を行うためには、症状、治療の状況等の疾病に関する情報が必要 となるが、これらの情報は機微な個人情報であることから、労働安全衛生法に基づく健康診断 において把握した場合を除いては、事業者が本人の同意なく取得してはならないこと。 また、健康診断又は本人からの申出により事業者が把握した健康情報については、取り扱う 者の範囲や第三者への漏洩の防止も含めた適切な情報管理体制の整備が必要であること。
  8. 両立支援にかかわる関係者間の連携の重要性:治療と職業生活の両立支援を行うに当たっては、労働者本人以外にも、以下の関係者が必要 に応じて連携することで、労働者本人の症状や業務内容に応じた、より適切な両立支援の実施 が可能となること。 ①事業場の関係者(事業者、人事労務担当者、上司・同僚等、労働組合、産業医、保健師、看 護師等の産業保健スタッフ等) ②医療機関関係者(医師(主治医)、看護師、医療ソーシャルワーカー等) ③地域で事業者や労働者を支援する関係機関・関係者(産業保健総合支援センター、労災病院 に併設する治療就労両立支援センター、保健所(保健師)、社会保険労務士等) また、労働者と直接連絡が取れない場合は、労働者の家族等と連携して、必要な情報の収集 等を行う場合があること。 特に、治療と職業生活の両立支援のためには、医療機関との連携が重要であり、本人を通じた主治医との情報共有や、労働者の同意のもとでの産業医、保健師、看護師等の産業保健スタッフや人事労務担当者と主治医との連携が必要であること。

5. 治療と職業生活の両立に関する支援制度・機関

(1)労働者が利用可能な支援制度

(2)事業者が利用可能な支援制度

治療と職業生活の両立支援の申し込み《PDF》

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